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活字の海で溺れてます

本とは出会い...

羆撃ち

どん底でどうにもならない時友人が貸してくれた。最近よくわかったんだが、悲しいひとは必ず悲しく見えるとは限らない。笑顔の先に深い悲しみが含まれていることもある。

北海道の山中でひとり猟師をしている物語。短く、飾りのない、あざやかな描写で綴られている。実際体験したひとしか書けないリアルさ、瑞々しさ、現実感が伝わってくる。久しぶりに物語に没頭してしまった。

 

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ひっそりと静まり返っている沢に、神経を集中する。葉を落とした林が、乾いた皮膚のように続き、エゾマツやトドマツの群れがところどころ染みのように黒くなっている。皺のような小沢が行く筋も見える。日陰になったところだけ、白く消え残った雪がある。沢奥の尾根の向こうに、真白く雪をかぶった斜里岳の尖った山頂が輝いている。その上に薄絹のような雲を通して、青い空が続いている。風もなく静かだ。

情景が目にうかんでくる、においまで伝わってきそうな感じだ。この話にフチという猟犬がでてくるがこれがまたいい。「けなげ」というのは人間では死語となっている感じだが、ほんとに健気な犬である。

こういう真正面からの本はなかなかない。人生も真正面から向き合わないと。